鍼治療が西洋医学的になぜ効くのかは、現代医学と鍼のメカニズムに関する研究成果が重要です。

以下にいくつかの観点からその効果を説明します。

1. 神経系への影響

鍼治療の主な作用の一つは、神経系を刺激する事によるものです。鍼が皮膚や筋肉に刺さると神経が刺激され、脳に信号が送られます。この信号は、痛みを緩和する「内因性オピオイド」や「エンドルフィン」などの神経伝達物質の分泌を促進し、痛みを抑える為の鎮痛作用があります。

2. 血流の改善

鍼は血液循環に影響を与えます。鍼を刺すと神経反射の作用で血流が増加し、酸素や栄養分が効率よく供給され、老廃物の除去が促進されます。これが、筋肉や関節の痛みの軽減、炎症の抑制をします。

3. 自律神経の調整

鍼治療は自律神経系にも影響を与え、特に交感神経と副交感神経のバランスを整えることが出来ます。交感神経が過剰に働いている場合（ストレスや痛みなど）、副交感神経よりに傾ける鍼治療を行う事でリラックス効果を出し、緊張をほぐす、痛みや不調を軽減する事ができます。

4. 炎症反応の抑制

鍼が炎症を抑えるメカニズムとしては、鍼の刺激が免疫系に作用し、炎症を引き起こす物質の生成を抑制する事で、炎症性疾患における痛みの軽減を促進します。また、鍼が細胞の修復や再生を促進し、傷ついた組織の回復を助けます。

5. 疼痛管理

特に慢性疼痛や神経因性疼痛の管理において、鍼治療が有効です。鍼による神経刺激が脳内の痛みの処理に関与する器官に作用し、痛みの信号が脳に到達する前にその強度を低下させる事が出来ます。また、鍼が脳内の痛みの感覚に関与する「痛みを感じるスイッチ」に作用して、痛みの軽減に繋がる可能性があります。

結論

西洋医学的には、鍼治療は主に神経系、血流、免疫系、自律神経系に作用し、この機能を調整する事で不調を促進するメカニズムが確認されています。近年では、これらの作用が神経生物学的に解明されてきており、鍼が有効であることを証明しています。